Column

#7


by marcy B  

 

アメリカナイズ?

80年代前半、アメリカにしばらく滞在したことがあった。
大学の寮に入っていたのだが、
あてがわれた部屋は1階で、
5階建ての窓という窓は全て頑丈な鉄格子がついていた。
寝室は鉄パイプ製の二段ベッドということもあって、
アメリカ人のルームメイトにまるで監獄みたいだといったら笑われた。
しかも、その建物の周辺は高い塀が囲んでいた。
まさに塀の中の生活だった。
寮生はみんな合い鍵を持たされ、
重い鉄のゲートをいちいち鍵を開けて出入りしていた。
最初はなんて大袈裟なと思っていたのだが、
夜中に近くで銃声が聞こえ、
続いてパトカーのサイレンがすぐ横の道を通過していくのを目の当たりにすると 、
頑丈な鉄格子もか弱く見えた。
また、ルームメイトがミネラルウォーターを
大量に買ってきたのを見てびっくりしたのを覚えている。
当時、水を買うなどということは日本ではまったく考えられなかった。
あれから20年以上経過して、
日本でも殺人が日常化し、ミネラルウォーターを買うようになった。
さらには人道支援という名の下にイラクへ自衛隊を派遣している。
アメリカナイズ、
雑誌「POPEYE」世代には甘美であり、格好良く聞こえた言葉が、
いまや奈落の底への変貌する様としか思えない。
一体、いつから日本はこんな物騒で乱れた
世の中になってしまったのだろう。
(05/10/2004)


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