Column

#39


by marcy B  

 

どこが違うの?

10月8日土曜日、
お台場にある公園内のグラウンドで
息子の通う保育園の運動会が行われた。
工夫と創意にあふれた競技やアトラクションで、
園の方たちの情熱が伝わってきた。
なかでも園長先生自ら女子高生スタイルで踊る
ダンスパフォーマンスは圧巻だった!
熱血園長先生、
感動
いたしました。

昼食、多くの家族の皆さんの
気合いが入ったお弁当は、
重箱などにしっかり収められていた。
我が家といえば、
「面倒くさいからコンビニでお弁当買っていこう」
で、決まり。
もっとも、妻は一応息子のことを考え、
ソーセージに切れ目を入れて
「タコ型」のおかずを作っていた。
他の家族と比べると何と貧相なこと
でも、コンビニのおにぎりも十分美味しい。
息子も喜んで食べていたし・・・
良かった、ホッ。

息子は運動会より虫取りに興味があるらしく、
結局、競技そっちのけで公園内にある草むらで
バッタやトンボを追いかけ回していた。
もちろん、私も一緒になって探していた。
協調性のない父兄、しばし童心に帰る。

お茶を飲みに戻ると、
妻がお母さん方と話しをしていた。
挨拶すると息子と同じクラスのお母さんから
「クワガタいりますか?」と突然言われた。
「えっ、クワガタ?」
聞けば、家には30匹近くいるという。
「ブリーダーなんですか?」
「そうです、たくさんいるので、よかったら差し上げますよ」
おお、ありがたい、なんと甘美な言葉。
「ぜひ!」
多分、目がキラキラと輝いていたと思う。
去年の夏にはちょっとした昆虫展より
たくさんの種類のカブトムシ、クワガタがいたという。
上には上がいる。
お台場にお住まいなので、わざわざ部屋に戻られて
虫かごにクワガタを入れてすぐに持ってきてくださった。
「中国のオオクワガタ、ホーペイです」
謝謝
残念ながら今年孵化したのはオスばかりでメスがいないので、
メスはショップで購入することを勧められ、
地図が載った案内までいただいた。
多謝

後日、そのショップにメスがいるか確認の電話を入れた。
「すみません、クワガタなんですが・・・」
あれっ、名前何だったっけ? うっ、忘れた。
「たしかポーチーだったか、フーチーだったか?」
「えっ、ポーチー、フーチー??? 聞いたことないですね」
「たしか中国産といってました」
「もしかして中国産のオオクワガタですか」
「そうです、そうです」
「ホーペイですね、いますよ。
ただ、残り3匹ですから
すぐに売れてしまうと思いますよ」
週末の予定は決まった。

その夜、ギターの弦を張り替えていると、
息子が「ムシさん、ムシさん」といって騒いでいた。
無視していると、妻の叫び声がした。
あの絶叫からするとゴキブリだなと弦を張る手を止めた。
指さす方を見るとトイレの中にゴキブリがいた。
妻は殺虫剤を取りに走り、戻ってくると手渡された。
超強力ゴキジェット!
引き金になったレバーを引くと、
ゴキブリは狭いトイレの中を逃げまどい、
最後は、ジェット噴射の勢いで
奥の角まで吹き飛び、片隅で動かなくなった。
たしかに超強力。

うん?
横を見ると息子がゴキブリをじっと見ていた。
息子を押し出してトイレの戸を閉め、換気扇をつけた。
「なんでしめちゃうの?」と息子。
「殺虫剤が充満しているから、しばらく閉めておこう」
不満げな小さな目がこちらを見ていた。

庭の樹木を守るためにコガネムシをエアガンで射殺、
クワガタを守るためにネズミ取りを仕掛け、
ゴキブリは問答無用、発見次第ゴキジェットで抹殺。
3歳の子どもからすると
カブトムシとクワガタ
コガネムシとゴキブリ、
どこが違うのと思っているに違いない。
どう説明すればよいのやら。
秋の夜長でも答えは出ない。
モヤット・・・

(14/10/2005)


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