Column

#38


by marcy B  

 

とばっちり

先日、ネズミトラップをチェックしていると、
体長15センチのヤモリがかかってしまっていた。
夜、植木に水を撒いていたとき、
何度か見かけたことがあった。
家屋を守るという迷信と、
蚊などの害虫を食べてくれる
見かけは悪いが 友好的な爬虫類。
ハワイなどでもゲッコーと呼ばれ
キャラクターもあるアイドルだ。

その愛すべきヤモリが
粘着糊にからまってグッタリしている。
やばーっ!!
慌ててトラップから引きはがそうとしたが、
粘着糊が強力でなかなか剥がれない。
ゴキブリホイホイの比ではない。
一瞬、体が千切れそうになったが
何とか無事救出した。

早々に流しで椰子の実洗剤で洗ったが、
1時間以上試みたものの、一向に粘着糊は落ちない。
健気(けなげ)にも手足を動かすのだが、
すぐに体に付着した糊にくっついてしまう。
だんだんヤモリもぐったりしてきている。
色もヤモリというよりはイモリのように
真っ 黒になってしまった。

製造元に問い合わせようにも
商品パッケージはとっくに捨ててしまっている。
トラップには何の印刷も表示もない。
もしわかったとしても3連休の初日だったので、
カスタマーセンターもお休みだったろう。

Webで粘着式ネズミ取りを検索し、
誤って糊が着いてしまった場合の
対処法がないか検索した。

商品の通販ばかりでなかなか見つからない。
15分経過、ある通販サイトの商品説明の中に
誤ってペットに糊がついてしまった場合というのがあった。

やりーっ!

さすがインターネット、便利な時代になりました。
そこには食用油、ベンジン、灯油で洗った後、
最後に石けんで洗い流すとあった。
ベンジン、灯油は効果がありそうだが
ヤモリの体がもたないだろう。

すぐに食用油エコナをトレーに入れ、
ヤモリをその中に入れた。
すると油の中では手足の自由になるのか
逃げようと 暴れ出した。
しかし、一旦油から出てしまうと
油がついていても糊の方が強く、
すぐに手足が胴にくっつき、
きをつけの姿勢になってしまう。
何度も油に入れては糊を落とし、
石けんで洗うを繰り返した。

キッチンのシンクの前で
悪戦苦闘
どうしても糊が落ちない。
手の指も足の指もくっついてしまう。
自分の手も粘着糊てべとべとなので、
手で落としていたのではなかなか取れない。
そこでホテルでもらった歯ブラシに油をつけ、
トレーの上でやさしく擦った。
しばらく続けると
なんとか手足の指が5本開くようになった。

ようやく光が見えてきたが、
これ以上続けるとヤモリも弱ってしまうだろうと思ったのと、
こちらも疲れたので、作業を終えることにした。
失踪したクワガタの飼育ケースに入れ
ひと晩様子を見ることにした。

翌朝、飼育ケースを覗くとヤモリは生きていた。
体中に土や木片をつけ、
どうみてもヤモリには見えない。

粘着糊除去作業再開

昨日よりは元気を取り戻したのか、
掴み上げると何度か口を大きく開けて
指に噛みついて抵抗してきた。

よしよしその調子、その調子。

昨日と同じ作業を繰り返した後、
再び、飼育ケースに戻した。
かなり糊も取れ、なんとか動けるようになったので
逃げられるように飼育ケースの蓋はしなかった。

ちょうど5ミリほどの小さなクモがいたので捕まえた。
普段、クモを食べているかわからないのと
もし、毒性のあるクモだとやばいかなとも思ったのだが、
あの状態では何日も餌を食べていないだろう。
嫌なら吐き出すはず、と。
ヤモリの顔の前に指を向けると
案の定、大きく口を開け、こちらを威嚇した。
その開いた口の中にクモを放り込んだ。

翌朝、まだケースの中にヤモリはいた。
つかみ上げると、多少ベタついたが
この程度ならもう大丈夫だろうと
いつも見かけていた辺りに放した。
最初、じっとして動かなかったが、
健康エコナが効いたらしい
ちょっと目を離した隙にいなくなっていた。

もちろん、仕掛けたネズミトラップは全て廃棄。
もっとも、トラップを置いたせいか、
以来、糞もなく、現れた形跡もない。
しかし、油断禁物。
奴、あるいは奴らは
必ずカブトムシの幼虫を狙ってくるはず。
特に餌の少なくなる冬場にかけて。
この戦いは長期戦の様相を呈してきた。
いよいよもって電動エアガン、H&KMPー5KA4導入か。
うひょーっ!

(21/9/2005)


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