Column

#18


by marcy B  

 

ワインに水を差す


本日午前0時、ボジョレー・ヌーボーが解禁になった。
ワイン好きなのか、お祭り好きなのかわからないが、
日本各地で盛り上がったようだ。
輸入量も当たり年だった去年よりも多いという。
逆にフランス国内のワイン需要は最盛期の半分以下に落ち込んでいる。
理由は、食事の際、
これまでは水が不味くて飲めなかったので
代わりにワインを飲んでいたのだが、
ミネラルウォーターの普及でワインを飲まなくなったからだ。
考えてみると日本で人気のVolvicやVittleなどフランス産だ。
まあ、それはさておき、
焦ったのはワイン醸造業者や政府などお役人たち。
国内需要がだめなら海外へ目を向けるのは当然のこと。
アメリカやオーストラリアには優秀なワイナリーが多数あるので不向きだ。
そこでワインに似た醸造酒・日本酒を好む日本に白羽の矢が立てた。
これまでにも需要拡大には努めてきたが、思うように伸びなかった。
そこで国家プロジェクトとして日本人ソムリエを抱き込み、世界一の称号を与え、
さらにはタレント、マスコミなどを巻き込んで
「お洒落で優雅なワインの世界」を大々的に演出した。
一時、一般人までもソムリエの資格を取るのがステイタスになっていたのは記憶に新しいはず。
ワイン通にいわせると、ボジョレーはヌーボーでしか飲めない代物。
永年熟成しても美味しくならないのだ。
ならば1年に1回、お祭り騒ぎをして
飲めや歌えのドンチャン騒ぎに乗じてフランス産ワインを売ってしまおう。
あわよくばフランス産チーズもご一緒にどうぞという
ミッテランやシラク大統領の策略にまんまと踊らされている。
つい数年前、フランスが南太平洋上で核実験を強行した際、
フランス製品の不買運動も起こったが、
いまや東京・銀座はメイド・イン・フランスの高級ブランドショップが軒を連ねている。
日本人は3ヵ月で事件のことを忘れてしまう。
放射能が消えるのに
一体どれだけの年月がかかるか知っているのだろうか? 

(18/11/2004)


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