Column

#12


by marcy B  

 

本当にあった怖い話し

6月に取材したハワイ島マウナ・ケア山の「マサシの夕陽と星のツアー」で、
ガイド兼ドライバーの山本くんが本当にあった怖い話しをしてくれた。
ツアーが終わって下山する途中、
ほとんどの参加者は、深夜近い時間というのもあり、
疲れて車のシートに頭をたれて寝てしまうのだという。
あたり一面闇の中。
そして全員が寝静まっている時に限ってルームミラーを見ると
青白い顔をした女性の顔が闇に浮かぶのだという。
「ヤバァ」
と目を合わさないようにすると、
ニィっと不気味に笑うという。
最初見た時は背筋が凍ってゾッとしたという。
「えっ、マウナ・ケアってお化けが出るの?」と思ったら、
寝れられない女性客が手持ち無沙汰になって
デジカメを再生して見ていたというオチだった。
その話しを聞いて、
子どもの頃、
夜寝る時になるとどこからかお経が聞こえてきて怖かったのを思い出した。
それもひとりやふたりの声ではないのだ。
小さいながらも大勢で読経していることがわかるのだ。
周囲にお寺などない公団での話しだ。
それが毎日続いたのでいつからか慣れてしまい、
気にならず子守歌のように寝られるようになっていた(慣れというのは恐ろしい)。
ある日、その謎が氷解する。
当時、住んでいた公団は4軒が1棟になった造りだった。
隣りの家がある有名な宗教団体の集会所になっていて、
毎晩、信者の方々が集まって、いわゆる「おつとめ」を行っていたのだ。
私は二段ベッドの上段で寝ていたのだが、
その寝ている側に祭壇があったので、
ありがたいことに、毎晩拝まれながら寝ていたことになる。
そんな清らかな幼少時代を過ごした割に、
時が経てば俗世に染まった大人になってしまった。
実はその方が本当にあった怖い話しなのかもしれない。 

(25/10/2004)


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